鉄瓶で淹れたお茶は美味しいって聞くし、鉄分も補給できて体にもいいので使ってみたいんだけど・・・という方も、いざ購入となると二の足を踏んでしまう理由が、手入れが面倒くさそう、錆びたらどうしよう!?という不安、心配ではないでしょうか。
でも実際は面倒な事はありません。
ただ1つだけ、使い終わったら乾かす!これだけを守ってもらえれば何の心配も要りません。外側の手入れなんてやらなきゃやらなくても大丈夫。使用後にお湯を空けたら蓋を取って鉄瓶本体の余熱で乾かす。これだけ。もし水気が残っていたとしてもちょっとだけ空炊きすれば完全に乾きます。(長時間の空炊きは厳禁です!弱火で10~20秒。この時鉄瓶の内部に息をフーフーと吹きかければより早く乾きますよ)
とにかく使用後は乾かす。これが一番のポイント!
これが面倒と言われればそれまでですが・・・
使い始めが一番錆び易いので湯垢が付くまでは出来るだけ毎日使用するのが望ましいです。
湯垢を早く鉄瓶内部に付ける、これも大事なポイントです。
水を入れっぱなしにしない限りサビサビになることはありません。
ですが、まだ湯垢が着いていない段階で水を入れっぱなしにしたり、お湯を空けてからちゃんと乾かさないで濡れた状態で放置した場合、確実に錆びます。
でも、万が一錆びてしまった場合でも慌てなくても大丈夫。
内側に赤い錆が出たとしても、特に処置する事なくそのままお使いください。お湯が赤く濁らない限りまったく問題なしです。間違っても錆を取る為タワシ等で擦ってはいけません!余計に錆が出てしまいますよ~。 もし錆びてしまいお湯が赤く濁る場合は、繰り返しお湯を沸かしてみてください。30分位沸かす→白い器にお湯を注ぎチェック!まだお湯が赤い様ならさっきのお湯は捨てて、再び30分沸かす→チェック!何回か繰り返すと透明なお湯に変わるはずです。
透明になってもお湯が鉄の味がする場合があります。それはまだ錆が出ている状態ですので再びグツグツ繰り返し沸かしてみて下さい。
どうしてもお湯が赤い、鉄臭い・・・という時は,煎茶を出汁パックなどに入れ(煎茶のティーパックでもよい)鉄瓶に投入しグツグツ煮てみて下さい。鉄分とお茶のタンニンが反応してお湯が真っ黒になると思います。(この液体が鉄漿、いわゆるオハグロです)後はそのまま1日程放置します。次の日黒い水を捨て、お湯を沸かしてみます。あら不思議、透明なお湯に!その後軽くすすぎ、1~2回沸かしてからお使いください。美味しいお湯になっている筈です。直らない時は繰り返し試してみて下さい。(※)この方法も錆の具合にもよります。あまりにも酷い真っ赤っ赤でボロボロの状態では効果がない事もありますので、その場合は修理に出して頂ければと思います。(状態によっては修理不可の場合もあります)
ちなみに、赤いお湯を飲んでしまったとしても健康を害する事はありません。誤解している方も結構いますが鉄の錆は体にはまったくの無害です。体に無害といっても、赤いお湯はお茶の色が悪くなるし美味くないので飲まない方がいいでしょう。
(※)年配の方にお話を伺うと、昔は栗や芋の皮などを入れて煮て錆を止めたそうです。要するにタンニンが出れば何でもいいのですね。
鉄瓶は使用しているうちに、買った時とは色合いが変化していきます。油などがはねてシミになったり、本体と蓋の所が擦れて赤くなったり、火で焼けて漆が取れてきたり、沸かす熱源(ガス・炭・IH等)、使用頻度などでも様々な変化をします。何年も買った時の綺麗な状態のまま、というのはあり得ないのでこのような経年変化も味わいの一つとして捉えていただければ、より愛着もわいてくると思います。
では、普段のお手入れはどうすればいいの?という事ですが普段から毎日頑張って磨く必要はありませんが、たまに思いついた時にでもお湯が沸いた状態の鉄瓶を火から下ろし、濡れ布巾でやさしく拭いて下さい。(最初のうちは鉄瓶に着色してあるオハグロが布巾に付着するので、使い古しの布巾を使用した方がよいでしょう)あまり強くゴシゴシやると徐々に漆がとれてきます、そして鉄の地肌が出てきますが、それはそれでいい味わいになるのですね。
また、濡れ布巾にお茶(煎茶)をしみ込ませ叩くようにポンポンと叩きつけていくという方法もあります。これをやると、茶色の鉄瓶は黒っぽい色合いに変わります。黒色の鉄瓶はより渋い色合いに変わっていきます。この作業も鉄瓶にお湯が入っている状態で行います。
外側は、そんなに神経質になってお手入れする必要はありませんので思い出した時にでも、ちょちょっと拭き拭きして頂ければと思います。大事に使用すればいつも美味しいお湯を作り出してくれますし、適当に扱えば錆だらけの不良鉄瓶になってしまいます。よく道具は使い込んで育てると言ったりしますが、その点鉄瓶は育て甲斐があって面白いです。世界に一つだけのマイ鉄瓶に育ててみましょう!